オーナー社長が100%株式を保有していない場合で、一定の持株比率(目安は30%程度)のある株主が存在する場合は、事前に慎重な対策を講じることが重要です。
最初のステップとなるのが、株主の人数や、持株比率の改めての確認です。
中にはいわゆる名義株を保有している人もいるかもしれません。
その場合は、弁護士と相談の上、株主としての権利主張はしない旨の書類に同意してもらう等 しっかりとした対策を行っておきましょう。
この点は買い手が警戒するポイントのうちの一つです。
理想的には事業承継を考え始めて、実際に会社売却を行なう2~3年前から株主構成の見直しや、分散した株式の集約の対策を進めていくのが良いでしょう。
次のステップは、株主の中で売却に反対しそうな人がいるかどうかの確認と対策です。
株式譲渡は、株主総会の特別決議要件ですので、2/3以上の賛成が得られれば成立するため、会社法上は反対者がいても譲渡自体は可能です。
本来的にはなるべく事前にすべての株主に予め会社売却について相談できれば良いのですが、秘密漏洩の観点からなかなか難しいことが実際のところです。
ここはM&Aの難しい点ですので、専門家に相談しつつ、慎重に進めましょう。
同族企業でもあっても油断は禁物です。「血縁関係のある株主からの思わぬ反対があった」というケースは意外と多いものです。
一般的な進め方としては、異議を唱える株主がいそうな場合でも、M&Aを進めるのに支障が出ない株式数を保有する株主のみで話を進め、概ね話がまとまった段階で株主総会前に少数株主に話をする場合が多いです。
しかし、株主となるステークホルダーは、様々な立場や会社への関わり方をしています。かなり個別性が強いため、専門家に相談の上、慎重に進めましょう。